【陸上競技】故障で練習できなかった高校生が、なぜ、たった30日で記録を30cm更新し全国インターハイに出場できたのか?~三段跳び少女の奇跡(その3)

TRACK&FIELD STORY
-TRIPLE JUMP-

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TRIPPLE JUMP

3つの「夢」

彼女には、3つの夢があった。

  1. 三段跳びで12mのジャンプがしたい
  2. 全国インターハイに出場したい
  3. 女子キャプテンとして、チームも全国インターハイへ連れていきたい

予選会まで、たった2週間(14日)。
時間を無駄にはできなかった。
川見店主に教えてもらったとおり、立ち方歩き方の姿勢を常に意識した。
カラダの柔軟性を高めるトレーニングを、日々欠かさずに行いつづけた。

自己ベスト12cm更新

来店から2週間後。
全国インターハイ熊本県予選大会。
彼女が出場した種目と結果。

  • 走幅跳び決勝  5m41cm 第4位
  • 三段跳び決勝 11m70cm 第1位
  • 4×400mリレー決勝 第2位

彼女は、この3種目で、南九州地区予選大会への進出を決めた。
驚きは、走幅跳びの記録だった。
年が明けてから、走幅跳びの練習は、ほとんど行っていなかった。
この県大会の試合は「出れるから出てみた」だけだった。
スパイクシューズも「走幅跳び用」ではなく、2週間前にフィッティングしたばかりの「三段跳び用」でのぞんだ。
そして、高2までの自己ベスト5m29cmから12cmも記録を更新したのだ。

彼女には、変化が現れていた。
走ればスムーズに加速に乗っていける。
助走のトップスピードがあがっている。
ジャンプの勢いが増し、跳躍した上半身がバネのようにしなる。
そして、接地する最後の瞬間、空中で何かに背中を押されたように「グン」とカラダが前方へ運ばれ、飛距離が伸びる。
――そんな感覚を、彼女自身も知りはじめていた。

自己ベスト30cm更新

来店から30日後。
全国インターハイ南九州地区予選大会。

①女子走幅跳び決勝

大会初日。
女子走り幅跳び決勝は、22名の選手で競われた。
全国インターハイへ進出できるのは上位6名のみ。

2回目の試技を終えた時、彼女の記録は5m17cmで第13位だった。
しかし、3回目の試技で5m53cmを跳び、なんと第3位に浮上。
さらに、5回目の試技で5m54cmと記録を伸ばし、順位を守った。

終わってみれば、2週間前に出した自己ベスト記録を13cmも更新。
「出れるから出てみた」だけの走幅跳びで、全国インターハイ進出を決めてしまった。

②女子三段跳び決勝

大会第2日目。
女子三段跳び決勝。

この種目に、彼女の敵はいなかった。
試技5回目までの記録は、次のとおり。

  • 1回目:11m46cm
  • 2回目:11m80cm
  • 3回目:11m89cm
  • 4回目:11m78cm
  • 5回目:11m75cm

結果から言うと、彼女はすでに、試技1回目の記録11m46cmで全国インターハイ進出を決めていたし、3回目に出した自己べスト記録11m89cmで優勝を決めていた。

しかし、彼女の気持ちは、まだ終わっていなかった。

試技6回目。
最後の跳躍にのぞむ彼女には、確信があった。

これから私は、12mを跳ぶだろう

追い風を味方にして、助走はスムーズにトップスピードに乗った。
ホップ、ステップ、2回跳ね、最後のジャンプで大きく伸びあがった。
瞬間、「グン」と体は前方へ運ばれた。

「おおー!」

彼女が砂を巻き上げて接地した時、スタンドからは、その日一番の歓声があがった。

記録 12m15cm。

南九州における、女子三段跳びの高校生新記録を更新。
彼女は、歴史をも塗りかえてしまった。

③女子4×400mリレー決勝

大会第3日目、4日目。
女子4×400mリレー。
チームの第2走者は、女子キャプテンの彼女だった。

過去4年間、チームの女子選手は、誰ひとり、全国大会に進出できていなかった。
彼女は、このマイルリレーでも、なんとか仲間を全国大会に連れて行きたかった。

彼女は、キャプテンとして意地の走りをみせた。
予選でも決勝のレースでも、第1走者からバトンを受けると、前を走る他校の選手を追い、抜き去り、順位を上げて第3走者へバトンをつないだ。
彼女の気迫にチームのメンバーも燃えた。
チームは予選を組2位で通過、決勝は5位に入賞し、全国インターハイ進出を決めた。

3種目で全国インターハイ進出

結局、彼女は、

  • 女子走幅跳び
  • 女子三段跳び
  • 女子4×400mリレー

の3種目で、全国インターハイ進出を決めた。
「鶴橋の店」でシューズをフィッティングしてから、わずかに30日後。
足に痛みを抱えて走れなかった彼女が、どれだけ記録を伸ばしたか、今一度確認しておく。

  • 走幅跳び:5m29→5m54(25cm更新)
  • 三段跳び:11m85→12m15(30cm更新)

彼女の「3つの夢」はすべて叶った。
そのうえ「走幅跳びで全国インターハイ」のおまけも1つ、ついてきた。

さらに、私たちは知ることになる。
2か月後の全国インターハイ。
彼女の力は、まだまだ「こんなものじゃなかった」。

(もう一回、つづきます)

この記事は2017年7月に旧ブログで公開したものです。今回、それを加筆訂正し再公開しました。

五輪代表選手から小学生まで。みんな自己新記録を更新しました。

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