【ショートストーリー】創業60周年の記念日に届いた花の贈り主は誰か?

60th Anniversary

2023年9月8日。
正午過ぎ。

ひとりの男性が店を訪れた。
陸上競技の試合に使用する専門的な機器を注文したいとのことだった。
その機器は、一般の人が購入するようなものではなかった。
当店でも取り扱いが可能かどうか、調べる必要があった。

川見店主がその男性に応対した。
男性は、名刺をとりだし、川見店主に渡した。
そして、少し照れくさそうに、言った。

「実は私は、高校時代によくこの店に来てたのです」

「そうなんですか!いつ頃のことですか?」

「1970年代です」

「創業者の上田の時代ですね!」

「そうです。当時、桃谷駅の近くにあったお店です」

「では、先生も、上田のおばちゃんによくしかられました(笑)?」

「ははは。おばちゃんには、『アンタの高校のユニフォームはダサいな』と言われました(笑)」

「まぁ、そんなにヒドイことを(苦笑)」

昔話に花が咲いた。
川見店主は、この男性の中にも、創業者が生きていることがうれしかった。

注文の機器については、あらためて連絡することになった。
男性の電話番号を聞き、メモに残した。
では連絡をお待ちしています、と男性が帰りかけた。
川見店主が声をかけた。

「実は、今日9月8日は上田の誕生日で、当店の創業記念日なんです。おかげさまで60周年を迎えました」

男性は振り返った。

「そうでしたか!それはそれは、おめでとうございます!」

「懐かしい上田の話をしてくださったので、お伝えしたいと思いました」

「そんなおめでたい日に手ぶらで来てしまって、申し訳なかったです」

「いえいえ、すみません、余計なことを言いました」

数時間後。

店のインターホンが鳴った。
宅急便の配達だった。
川見店主が受け取りにでた。

「ええーーーっ!」

荷物を受け取った川見店主は、驚きの声をあげた。
その顔が、花々に包まれた。

突然の贈り物。
一体、誰がこんなことを?

「まさか……」

贈り主の名前を見て、もう一度驚いた。

「お礼を言わなければ」

川見店主は、先ほどメモに残したばかりの番号に、電話をかけた。

(おわり)


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創業60周年迎えて~オリンピアサンワーズが「変わらずにありつづける」ためにやってきたこと

創業60周年を迎えたオリンピアサンワーズが、みなさまに感謝の御礼と「自画自賛」のごあいさつをいたします。